研究概要 |
ミスト冷却の伝熱において液供給は重要な問題となるが,熱交換器など管群の場合,それは気流中の噴霧液滴と各管からの離脱液滴とによる。後者による供給については管群構成各管で一様でなく,離脱落下を始めとする液滴の動的挙動と加熱条件により量,質(熱)的に異なり,前者に比べ熱伝達への影響がより複雑となる。 本研究では,水平噴霧気流中に4列9段の千鳥配列管群を設置しミスト冷却実験を行い,離脱液滴による各管への液供給を明らかにすることにより熱伝達への影響を追求した。以下に得られた成果を示す。 1.管群構成各管からの離脱液滴の動的挙動の観察により液供給の量的効果が明かとなった。 (1)比較的低流速の場合(本実験ではU∞≦2.5m/s),いずれの管においても衝突捕捉される液滴は,管下端で懸垂液となり直下へ落下離脱する。従って,離脱液滴による液供給はそれぞれの直下管に限られ,結果として管列に関係なく下段管ほど多くの液を受けることとなり,その量は等比級数的に増加する。 (2)高流速の場合,離脱液滴は気流によってより後方へ運ばれるため,直下管よりむしろ管列間あるいは後列それも下方に位置する管に衝突捕捉される割合が多くなる。即ち,流速の増加と共に直下管に対する液供給の効果は減少し,後列下段管に対する量的効果として現われるようになる。 2.管下端での懸垂液の温度測定により離脱液滴の質(熱)的効果は,主流温度と関係し離脱液温がそれと等しく高温の場合,液膜蒸発による潜熱輸送が大きくなり熱伝達は高く,効果が大きいことが明かとなった。また,主流温度と異なる場合,低温液滴の方が顕熱輸送は大きく熱伝達に及ぼす質的効果は大きいと言える。 3.噴霧液滴と離脱液滴に基づく各管への液供給量を解析し,管群内の液供給分布と熱伝達の関係を求めた。
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