研究概要 |
本研究は,空気ダンパを内蔵した動吸振器によって機械・構造物の振動制御を行うことを目的として始めたものである.研究の結果,この空気ダンパを動吸振器としてではなく通常の減衰器として設計する場合の設計理論は完成し,その成果は日本機械学会で発表した.一方,空気ダンパを動吸振器として設計する場合の設計理論に関しては,動吸振器の最適同調の条件式は求められたが,最適減衰の式がどうしても得ることができなかった.したがって,現段階では最適減衰の値は数値解析により求めている. 理論解析と平行して実験も行い,試作した空気ダンピング式動吸振器を主振動系に取り付けてその振動特性を測定した.その結果,動吸振器を取り付けることによって主系の振動を大幅に減じることができ(共振振動は約1/100に抑えられた),それは空気ダンパの設計段階で予測した結果とよく一致していることが明らかになった.こうして,試作した空気ダンピング式動吸振器が非常に優れた制振効果を発揮することを理論と実験によって確認した. 本研究はまだ完成していない.今後解決すべき問題点を列挙すると,以下ようになる.(1)空気ダンピング式動吸振器の最適減衰の計算式がまだ得られていない.(2)効果的な動吸振器を設計するには,動吸振器の3つの無次元設計パラメータをすべて最適化する必要がある.ところが,そのうち2つは互いに関係しているので,動吸振器を最適設計するのに反復計算が要求される.
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