研究概要 |
移動ロボットの環境認識のため,非線形変換レンズを用いた全方位視覚センサについての研究開発を行なった。本年度の研究実績の概略は,以下のとおりである。 1.非線形変換レンズとして良く知られている魚眼レンズを用いた視覚センサ系の精度向上を目指し,「計測用魚眼レンズ」を試作した。「計測用魚眼レンズ」の試作にあたっては,「富士写真光機株式会社」と共に設計から関わり,良好な性能を有する魚眼レンズを製作することができた。 2.魚眼レンズを装着したCCDカメラで撮影した基準点の画像から,移動ロボットの位置を算出するための基本的な逆変換アルゴリズムを構築し,数値計算と検証実験により確認した。 3.「空間荷重関数重畳法」を用いた信号処理回路により,前項のアルゴリズムに従って実時間で位置検出を行い,無線制御により走行する無人搬送車の2点間の走行制御系を構築し,その基礎的な性能評価を行なった。 4.前項までの視覚センサ系に改良を加え,環境に固定した座標系を用いた絶対的位置の検出,ならびに,移動ロボットの姿勢角の検出を可能とする新たな視覚センサ系を提案し,検証実験によって有効性を確認した。 5.走行制御中の障害物回避を行なうため,魚眼レンズの超広角画像を用いた障害物検出に関する基礎的なアルゴリズムの提案を行なった。簡単な障害物検出センサを用いた障害物回避走行制御や,画像から得られた障害物に関する情報を蓄積した環境地図の作成を行い,障害物検出に対しても魚眼レンズを用いた視覚センサが有効であることを示した。
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