研究概要 |
高速に物体の3次元形状を測定することが産業各分野で広く要求されている。本研究では,このような用途に対応するために新しい原理に基づく3次元形状計測用高速画像センサを考案・設計することを目的とする。具体的には複数個の1次元画像センサをアレイ状に並べ,それらを同じタイミングで動作させるような並列信号処理系を構成することを考えた。 そのために,まず高速画像センサを構成する1次元CCDを選択し,センサ受光回路,並列処理回路,自己記憶回路の設計・試作し,高速画像センサの基本構成を完成した。次に試作した高速画像センサと新たに設計・作成した半導体レーザを光源とする光学系とを組み合わせて,試作した高速画像センサの性能(データ入力時間や測定精度)をウェーブメモリを用いて測定した。この結果,試作した高速画像センサはサンプリングタイム3msの測定を可能にし,従来のエリアセンサ33msに比べて約10倍の高速化に成功した。 次に,我々が以前より提案しているマルチスリット光投光法を組み合わせた3次元形状計測システムを構成し,実験を行なった。その結果,提案した原理の有効性確認のための簡便なシステムにもかかわらず,3msで256点の測定を可能にした。これは1点の検出時間が12μsに相当し,現時点では最も高速な計測法であると言える。また提案した高速画像センサは自己記憶回路を有しているので連続計測が可能であり,測定結果を即座に制御に生かすことがでる。 以上の研究結果から,本研究で提案した高速画像センサは3次元計測の高速化に大いに効果的であると考える。
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