研究概要 |
本研究の目的は,サイリスタ制御の蛍光灯照明システムの雑音の発生のメカニズム解明と防止対策の基礎を得ることである。主として,高周波点灯蛍光灯およびプリント基板上に置かれたスイッチング素子からの雑音放射の解明と防止の研究を行った。また,モデル雑音源を用いてTV画像への影響も一部研究した。 1.蛍光灯からの雑音の発生源は,(1)蛍光灯の放電,(2)安定化電源内にあるサイリスタスイッチの発生する雑音であることが実験で明らかになった。インバータによる高周波駆動した場合は,駆動波形には相当高いレベルの高調波雑音が,伝導でも放射でも発生することが明らかになった。 2.プリント基板上に置かれたスイッチング素子からの雑音を計測した。最初に,近傍磁界センサを使用して,プリント基板の配線上の近傍磁界雑音の強度分布を計測した。また,規格の3m法により電波雑音の計測も行った。プリント基板の厚さと導線の寸法とを変えてデータを採取したところ,近傍磁界雑音はプリント基板上の位置や周波数で大きく変わることが明らかになった。また,プリント基板上にコイル型フィルタを装着した場合よりも,基板の厚さを薄くした方が100から230MHzの周波数範囲で抑制される可能性が明らかになった。近傍磁界騒音と電波雑音とは一致しないが,基板の素材と寸法によって,雑音の抑制すなわち防止が可能になることが推定できた。 3.TV信号に混入する雑音モデル(複合雑音発生器,CNG)波形では,雑音電力がTV画像の劣化に最も影響を及ぼすことが明らかになった。
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