研究概要 |
火山降灰地域でこれまでに,火山灰汚損によるがいしの漏れ電流の増大が原因と思われる配電線路事故が発生している。本研究では,火山降灰による配電線路事故を軽減させる為に,火山灰汚損がいしの漏れ電流の増加並びにその変動を減少させる為の知見を得ることを試みた。その為にまず火山灰の成分および比電導度,イオン濃度,pHなどの電気的性質を詳細に測定した。次にこの基礎データをもとに,火山灰による種々の汚損条件下において,がいし及び高圧カットアウト、アレスタの汚損状態と漏れ電流の関係について実験的に調べた。その結果, 1.漏れ電流はがいし内側のひだ部分にたまった火山灰が湿潤したときのみ増大し,さらにコロナの発生を伴い,その変動は増大する。 2.耐張がいしに耐塩用がいしを組合せることにより、火山灰汚損時でもコロナの発生を抑さえられる。これにより、零相電圧の変動を小さくでき、遮断器の動作による停電事故を軽減できる。 3.火山降灰により耐張がいしや高圧カットアウト、アレスタの漏れ電流は増大するが、中実ピンがいしの漏れ電流はほとんど増加しない。 4.コロナ観測から、耐張がいしの内側ひだ部分の電位傾度が大きいことが予測される。よって、漏れ電流を減少させるために、高圧耐張がいしの形状は耐塩耐張がいしと同様に内側の内筒長を長くしてがいしの沿面距離を長くすることが適している。 ことなどが明らかになった。 また,漏れ電流を小さくするための最適ながいしの取り付け方向や連結長など事故軽減の為の対策指針が得られた。
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