研究概要 |
平成6年度では,平成5年度に確立された位置と力の総合制御系の有効性を実験により検証した。実験では、公称値が既知であるバネを目標対象物とし,スチフネスの異なる作業対象物に対して適応的な力追従動作を実現している.特に,位置と力の動作を融合させるため,対象物に接触し力制御を行うまでの動作を3つのモードに分解して考えている。第一モードは初期姿勢から対象物に接触するまでのモードであり,これを位置制御が主体となるアプローチモードと呼ぶ.第二モードは,位置制御から力制御へ移行する接触動作であり,コンタクトモードと呼ぶ.このモードでは,接触時に対象物あるいはロボットへの衝撃力が極力減少するような指令値を生成することが必要となる.最後は,対象物に所望とする力を印可する力制御モードである.これらのモードへの切り替えは,制御系の構造を変更することなく,位置および力指令のみの変更により行われており,制御系自身の安定性は保証される.この3つのモードに応じて適当な位置指令,力指令を与えることにより,位置制御から力制御への移行がスムーズに行える.上記手法の有効性は,3自由度ダイレクトドライブロボットを用いた実機実験により実証された.さらに,柔軟機構を含む振動系の振動抑制制御として,位置と力の制御ループが同時に含まれる制御アルゴリズムを確立し,フレキシブルアームロボットを用いた実機実験によりその有効性を検証した.同手法は,位置と力の総合制御系がフレキシブルアームロボット等の制振制御にも適していることの裏付けとなっている.
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