研究概要 |
本研究の目的は、画像処理を用いたプラズマ分光診断装置によって,メタンと水素との混合ガスプラズマによるアモルファス・カーボン薄膜の生成プロセスを調査し,並行している計算機シミュレーションによるモデリング結果との比較検討により生成プロセスを詳細に理解しようとするものである。 以下に研究成果を概説する。 (1)各種反応性プラズマの特性解析のために構築してきた画像処理システムを利用したプラズマ分光診断装置の1段目のイメージインテンシファイアの高速ゲート回路を作り、発光の時空分解が可能になった。これにより自己バイアスの大きさと、発光プロファイルの進展との関係が明らかになった。 (2)デジタルオシロスコープと計算機をGP-IBデジタルバスで接続して、プログラムの作製により電圧、電流、電力それぞれの波形をリアルタイムにモニタすることができるようになった。これにより発光強度の時間変化が電力波形に強く依存していることがわかった。 (3)基板温度を550℃まで、電源周波数を0.1GHzまでそれぞれ変化させて、発光プロファイルの基板温度ならびに周波数依存性を示した。さらに自己バイアスの基板温度、周波数依存性についても調べ、考察した。 (4)ボルツマン方程式法により、メタンと水素それぞれの電子衝突断面積のセットを求め、さらにこれらの混合ガスの電子輸送現像を解析した。 (5)(4)で求めたメタンと水素それぞれのセットを用いて開発中のモンテカルロ法によるモデリングを行い、実験結果と比較検討し,診断結果の定性的な説明を加えた。 以上の結果により,計画していた研究が充分に達成されたと判断する。時間分解能をあげること,モデリング手法の改良など,いくつかの今後の課題なども明らかになった。
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