研究概要 |
Sm_2Fe_<17>N_3系合金は,従来の磁石の性能を大幅に上回る可能性のある新高性能磁石材料として注目を集めている.しかしながら,その秀でた可能性にもかかわらず,実用に耐える特性を有する磁石を得るには至っていない.この最大の原因は,この合金の合成法にある.本研究ではSm_2Fe_<17>N_3合金の直接合成を目標に研究を進めた 平成5年度の研究では,当初,スッパタリング法を用いて研究を進めた.しかしながら,窒素分圧の可変範囲が狭く,良好な結果が得られなかった.そこで,新たに気相成長に適したレーザディポジション法を導入し,ターゲット組成,窒化ガスの種類と圧力,基板温度,ディポジション後の熱処理条件等を変化させて研究を進めた.その結果は以下のように要約される. 1.窒化雰囲気中でディポジションすることによ窒素をSm-Fe膜中に取り込むことはできるが,膜中の窒素はSm_2Fe_<17>N_3の形ではなく,SmN等の形で存在する. 2.基板温度(室温-400℃),窒化ガス(窒素,アンモニア),ターゲット組成(10〜14at.%Sm),窒化ガス圧(0〜100mTorr)を変化させて実験を繰り返したが,ディポジションしたままではSm_2Fe_<17>N_3を合成することはできなかった. 3.真空中あるいは5mTorr程度のアンモニア分圧中で作製した膜を熱処理後窒化すればSm_2Fe_<17>N_3を合成でき,保磁力を得ることができるが今後析出α-Feを抑制する努力が必要である.
|