研究概要 |
1.分母分離形2次元ディジタルフィルタの周波数領域における最適設計問題を単純遺伝的アルゴリズムによって定式化した.最適化問題のコーディングにおいて,分母分離形伝達関数の分母の極の半径と偏角,および分子の係数をそれぞれ30ビットの遺伝子として表現し,これらを一つなぎにして染色体を構成した. 2.上述の表現のもとで単純遺伝的アルゴリズムによって2乗誤差評価関数の最適化を行い,フィルタ設計が可能であることを確認し,またこの方法は従来法より近似誤差が小さいことを明らかにした. 3.以上の設計手法を周波数領域の誤差の絶対値和,最大値,空間領域の誤差の2乗平均などの場合に対して拡張し,実際に2次元フィルタが設計可能であることが確認された. 4.遺伝的アルゴリズムによる分母分離形フィルタの設計において,突然変異率を指数関数的に減少させる方策を取り入れ,収束誤差と収束時間の減少を目指した.この結果,これまでの手順の結果よりもより小さい近似誤差でフィルタを設計することが可能となった. 5.これまでに検討した遺伝的アルゴリズムによるフィルタ設計を分母非分離形(一般形)フィルタに適用した.ここでは,フィルタの安定性を判別するために,単位インパルス応答の絶対値和を用いた.この結果,分母非分離形に対してもフィルタの設計が可能となった.ただし,分母非分離形フィルタの安定性の判別の難しさのために,設計精度は分母分離形よりも幾分劣る結果となった.
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