本研究は生産工場における効率化のためにどのような総合管理情報システムを構築すればよいかという課題に対する研究をおこなったものである。このためには、(1)必要な情報は何か、(2)情報をどう取得するか、(3)取得した情報をどう伝送するか、(4)必要な情報のうち保存する情報はどのように保存するか、(5)得られた情報にもとづいてどういうアクションをとるか、を定めなければならない。本研究ではこれらの課題に対して個々に検討すべき問題を検討するとともに生産工場における情報システムがどうあるべきであるかという一つの例を示している。具体的な研究成果は以下の通りである。 1.設備管理の上から、設備診断技術の適用は必須である。現状の設備診断技術を整理し、4冊の図書として発刊した。 2.取得した情報にもとづいてアクションを決定するには知識工学の応用が必要となることが多い。ここでは診断を対象にエキスパートシステム構築支援ツールを開発した。設備の構造と得られる情報量にもとづいて適切な判断をおこなうことに本システムの特徴がある。 3.ベルトコンベア上を流れる部品・製品の数量を画像処理にもとづいて計測する手法を検討した。 4.設備の自動化に伴い自動制御の応用は広っている。汎用フアジイ制御器として、自動調整可能なフアジイコントローラを開発した。 5.プラントではシミュレータが操作支援のために導入されてきているが、シミュレータが適切に構成できれば異常検出に適用することができる。この見地からシステム同定の手法について検討を加えた。 6.生産工場の情報システムがどうあるべきかについて基本的な概念を確立し、具体的にどのような情報をどう伝送・管理すべきかについて一例をとりまとめた。
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