研究概要 |
従来の濃淡画像からの3次元形状復元(shape from shading)では,物体の表面属性が完全一様乱反射面であると仮定しているものが多い.しかしながら,実シーンにおいては,周囲光の影響やカメラ特性などにより,必ずしもこの条件を満たさない.本研究では,これらの影響を受けない弱一様乱反射仮定を導入し,照明条件(方向と照明光の強さ)や表面反射係数に関する知識なしに,明度情報と輪郭線情報から一般化円筒のサブクラスであるSHGC(Straight Homogeneus Generalized Cylinders)の形状及び姿勢を復元する手法を提案し,実験した. 弱一様乱反射仮定は,濃淡情報に関する定性的な拘束から導かれるものであり,この仮定により,従来からのshape from shading手法に必要な前提条件を緩和することができる.1つは,物体表面の反射特性は,完全なLambertian特性でなくても良いこと,もう1つは,反射特性として鏡面反射成分を含んでいても良いということである. 一般に明度情報だけでは,照明条件と面の反射係数に関する知識なしには,SHGCの形状を唯一に復元できない.これに対し,輪郭線情報は,SHGCの形状と画面上の断面形状の間の関係を与える.これら明度情報と輪郭線情報の統合により,SHGCの形状および姿勢を唯一に決定できる. まず実際の光源方向を,正規化光源方向と呼ぶ方向に変換する.次に,弱一様乱反射仮定にもとづいて画像上の輪郭線と垂直断面形状との間に存在する変換パラメータに関する拘束式を正規化光源方向を用いて導き,この拘束式を解いて形状を復元する.ここで,画面上の断面輪郭線が垂直断面であると仮定することによりSHGCの垂直断面形状および姿勢を唯一に決定できる.合成画像と実画像に適用した結果を用いて,本手法の有効性を示した.
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