研究概要 |
宇宙構造物の振動抑制と姿勢制御を,制御対象のモデル誤差の存在のもとで,サブシステムごとの分散制御によって有効に行なう方法に関連して,以下の成果が得られた. 1.センサーとアクチュエータが同位置・同方向に配置された宇宙構造物を対象としたロバスト安定化のためには対称なコントローラが優れていることを明らかにした.そして,ばねとダンパーで結合された大型宇宙構造物に対してサブシステムごとに対称なコントローラを分散適用することの有効性を示した. 2.大規模システムのサブシステムごとの分散出力フィードバックによるH_∞制御法を提案した.そして,2次安定性の概念に基づくロバスト安定化法を開発した. 3.構造物の設計にH_∞制御による外乱抑制を反映させる統合設計について,状態フィードバック制御による方法と出力フィードバック制御による方法を開発した.そして,設計目的によって,それらの性能が同一である場合と異なる場合があることを明らかにした. 4.柔軟な太陽電池パドルをもつ人工衛星のモデリングと振動抑制制御法を提案し,モデルの不確かさや設計段階における低次元モデルの使用に対処する方法を開発した. 5.宇宙構造の動作状態の変化に対応する安定化制御法として,複数の基準モデルに対する安定化制御器を補間することを提案し,その有効性と限界を明らかにした. 6.非線形システムの平衡状態の変化まで考慮に入れたロバスト安定性であるパラメトリック安定性をル-リエ系と呼ばれる非線形フィードバックシステムについて考察し,解析法と安定条件を与えた.
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