研究概要 |
混合型H^2/H∞推定理論の中心課題は混合型H^2/H∞推定器の構成法を確立することである.本研究では,与えられたH∞ノルム評価性能を満足する推定器(H∞推定器)の中でH^2ノルム評価(2乗推定誤差評価)が最も優れたものを混合型H^2/H∞推定器と定義した.まず与えられた性能をもつH∞推定器の全てを特徴づける問題を検討し,縮小写像をパラメータとする一つの解答を与えた.次に,このH∞推定器の集合の中から最小のH^2ノルム評価法をもつ推定器を求める問題(混合型H^2/H∞推定問題)を議論した. 混合型H^2/H∞推定問題に対してはある特別な場合に最適解を得ている.その解はオールパス特性をもち,典型的なH∞推定器の性質をもった解であることはわかったが,その物理的な意義についてはまだ明確にはなっていない.一般には,混合型H^2/H∞推定問題は一種の特異最適値問題であり,解決困難な問題であることが判明した. そこで,H^2ノルム評価の代わりに,その一つの上界となる指数関数型のH^2ノルム評価を導入し,この評価を最小にするH∞推定器を求める問題を検討した.この問題に対しては,十分に一般的な形で,しかも容易に構成できる形で解を得ることができた.またその解の特徴を明らかにすることもできた. 得られたH^2/H∞推定器の性能,特徴を具体例で検証するために,離散時間型の解を導き,アクティブビジョンによる推定問題に適用した.カルマンフィルターとの比較を通して,H^2/H∞推定器がロバスト性の面で優れていることを示した.
|