コンクリート構造物は、様々な自然環境下にさらされているため、種々の侵食作用に対する耐久性が要求される。このような侵食作用の原因は、コンクリート中に存在する空隙によるところが大きい。空隙から侵入してくる気体、液体、イオンによってコンクリートの劣化、鋼材の腐食が引き起こされる。本実験は、空隙構造を左右すると思われる要因を選定し、コンクリートの緻密性に与える影響を比較することを目的とした。 実験の結果、以下の結論が得られた。 (1)飽水率を一定に設定した状態で、水セメント比が緻密性に及ぼす影響を評価できた。設定した状態は、酸素拡散試験では飽水率を0%に設定し蒸発性水分を完全に蒸発させて毛細管空隙を全て開放空隙にすることであり、比抵抗測定試験においては、開放空隙を全て水で置換することである。 (2)水中養生方法を2種類設定し、2週間目からの水和進行度を評価することができた。十分長い水中養生期間をとったものとそうでないものは、拡散係数に大きな差を生じ、養生期間の永さから緻密性を判断できる。 (3)水セメント比の違いにより、乾燥による破壊の進行にかなりの相違がでることが判明した。水セメント比が高い供試体を高温度で乾燥すると、試験に要求される精度を満たすことが困難であるように思われる。 (4)酸素拡散係数において、水中養生期間が短いと、供試体の形状によって空隙量に差が生じることが分かり、水和段階が相対的に評価できる。
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