研究概要 |
本研究は補強材と地盤との相互作用をより詳細に検討し,補強材の支圧機構および境界摩擦機構を解明するため,実験結果あるいは数値解析結果に基づいた補強斜面の合理的設計法について提案を行った。本研究の研究成果は以下の通りである。 (1)グリッド補強材で補強された垂直補強斜面の支圧機構を調べるためにグリッド補強材の引抜き試験を行い,縦・横鉄筋に作用する応力について検討した。その結果,グリッド縦筋の軸力分布はグリッド横筋の位置で大きく変化し,その変化割合は各横筋の支圧抵抗の大きさに依存していることを明らかにした。さらに,縦・横鉄筋の直径や表面性状は支圧および境界摩擦機構に大きく影響することを明らかにした。 (2)上載圧や転圧により発生するグリッド補強材のたわみによって補強効果がどの程度上昇するかを調べるため,あらかじめ一定の初期たわみをもったグリッド補強材の引抜き試験を行った。約5cmの初期たわみをもつグリッド補強材の引抜き抵抗は,初期たわみのないグリッド補強材の引抜き抵抗よりも約10%増加することを明らかにした。 (3)実際の道路拡幅部斜面改良工事において補強切土斜面の切土実験をもとに著者らが提案しているハイブリッド斜面安定解析法を適用し,補強切土斜面設計法の妥当性を検討した。その結果,実際の地山を補強する場合の合理的設計法をルートパイル工法を例として提案した。
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