研究概要 |
北陸扇状地河川のひとつである手取川の河川敷において植物群落と河川敷微地形を詳細に測量した.堤防に沿った距離標に内挿された基準点からのトラバース測量と踏査により,河川敷の植物・樹高・群度及び地形が5mメッシュで記録化された.これらを基に,河川敷植生分布図や微地形図が作成されたほか,いくつかの基準流量に対して不等流計算によって求められた水位からの地盤,植物の相対的高さを求め,各流量の再帰確率との関係から様々な植物がどのような流量で冠水するか検討された. 上述のような河川植生の現地調査から,水理学的に検討すべき対象として植生帯を伴う流れと流砂およびそれによる地形変化が取り上げられ,水路実験・数値計算の両面から研究された.実験から,植生帯近傍の低周波変動が認められ,水面変動に伴う植生帯・主流部間の流出入流量の低周波変動が着目され,これに伴う掃流砂の方向角変動が掃流砂の横断フラックスを産み,植生帯への土砂堆積が河川敷地形を形成している過程を,低周波変動を伴う流れのモデル化と非平衡掃流砂モデルによって巧みに説明された.さらに,河床材料が混合粒径からなる場合,上述の掃流過程がひきおこす分級過程についても研究し,分級縦筋の形成の説明・予測を行なった.これらの解析は水路実験で検証された.一方,最近発展した代数応力モデルを用いた流れの数値計算を植生帯を伴う流れについても適用し,高水敷と植生帯を伴う流れの相違や,河川敷・植生帯が共存する流路での流れについての検討も行なった.
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