研究概要 |
本研究では,次のステップにおいて,別途開発されてきている土壌水分量および蒸発を考慮した流出モデルと大気モデルを結合させ,長期的な降水現象と土壌水分量との関係を解析していくことを前提に,既存の降水過程モデルと1次元積雲モデルを我々が開発してきた大気モデルに組み込み,さらに地表面の一部領域に水蒸気フラックスを導入してその地表からの流入分布が降水分布に及ぼす影響を調査した. 導入した積雲モデルに関しては,メソスケールモデルの解析領域上端高度の不足という点を含め,いくつかもう少し精密化を図る必要があるのが明らかになった.しかし,地表面からの水蒸気フラックスが,(1)潜熱の放出,(2)移流という流れ,(3)風速場の収束,という3点を通し,降雨分布の集中化をもたらし,さらには(2),(3)のどちらが卓越するかによって暖かい雨あるいは積雲による雨のどちらに集中するかを決定づけるという重要な点を表現できた.また,強蒸発域と乾燥領域との間に弱い蒸発領域を設けることにより,降雨域が広がり,総降水量が減少し,乾燥領域に運ばれる水蒸気量が増大した.すなわち,地表からの水蒸気フラックス量の分布如何によって,総降雨量,雨域の広がり,雨域の位置に大きな違いが生じることが表現できた.
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