研究概要 |
本年度得られた成果は以下の通りである。 コンピューターマッピングを用いたシステム構築に関して,(1)東京,大阪,神戸等でのコンピューターマッピングを用いた下水道台帳管理システムについて調査した結果,SWMM法に必要なデータの内,下水道管渠網関係データは保持されていることが確認できた。しかし,排水域データに関しては,整備されていない場合が多いことがわかった。(2)神戸市の下水道台帳管理システムから,そのデータ検索機能を利用して,SWMM法に必要な下水道管渠網関係データを抽出するインターフェースプログラムを開発した。(3)亀甲割による排水域図からSWMM法の排水域データを作製する,コンピューターマッピングを用いた手法を開発した。(4)SWMM法による下水道流出シミュレーション結果を,コンピューターマッピングを用いて出力するプログラムを開発した。(5)構築した下水道維持管理支援システムを神戸市の実流域に適用し,良好にデータ入出力ができることを確認した。 SWMM法の排水域流出シミュレーションモデルRUNOFFの改良に関しては、RUNOFFをKWモデルに変更し,両者の比較を神戸市の実流域で行った。その結果,一部パラメータの修正により両者で同等の結果が得られることを明らかにした。パラメータの修正法を一般化するには,今後さらに検討が必要である。 マンホールの圧力流れに及ぼす影響に関しては,代表的な諸量をもつ下水道管渠システムと地下河川システムを用いて流出シミュレーションを行い,(1)マンホール・立坑は圧力流れの雨水流出特性を決定づける最も重要な流出要素であることを確認した。(2)その無次元パラメータはマンホール・立坑の水面積(横断面積)と下水管渠の縦断面積の比の関数であるC'_<M*>によってあらわせる,(3)C'_<M*>が5程度以下のシステムではマンホール・立坑を無視した解析では,特に水位ハイドログラフに致命的な誤差を生じることを明らかにした。
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