研究概要 |
タンタル箔と硫黄を反応されることにより予め合成したTaS_2と各金属粉末(Ni,Mn)混合し、石英管中で反応させることにより、インターカレーション化合物M_xTaS_2を合成した。粉末x線回析およびEDAX元素分性法を用いて決定した1000℃での単相領域は,Ni_xTaS_2では0.11【less than or equal】x【less than or equal】0.40、Mn_xTaS_2では0.20【less than or equal】x【less than or equal】0.50となった。Ni_xTaS_2の場合、六万晶系の格子定数aおよびcはニッケル組成xの増加とともに減少し、x=0.25で極小となった。その後増加した。この組成に於いて、電子線回析パターンに2a_O×2a_O(a_Oは母体のTaS_2の格子定数)の超格子スポットが観測された。Mn_xTaS_2では、c軸は組成xの増加とともに単調に増加し、a軸はx=1/4,1/3で特異な挙動示した。電子線回析測定の結果Ni_xTaS_2の場合と同様にそれぞれ2a_O×2a_Oと√<3>a_O×√<3>a_Oの超格子スポットが観測された。電気抵抗の温度依存性において、両系とも金属的な挙動をしめした。Ni_xTaS系においては、インターカレーション化合物で一般的に用いられるrigid band modelは適用できなかった。磁化率測定から、Curie-Weissの法則に従う常磁性体であることがわかった。Ni_xTaS_2の場合、Weiss定数が全ての組成で負の値をとることから、磁気的相互作用が反強磁性的であると考えられる。また、Niの価数は、キュリー定数より計算した有効ボ-ア磁子数から、x=0.33では+3で、それ以外の組成では+2と+3の混合状態であると考えられる。Mn_xTaS_2の場合、Weiss定数は、xの増加とともに減少し、x=0.5負の値となった。このことは、磁気的交換相互作用が強磁性から反強磁性へと転移するためと考えられる。Mnの価数は、有効ボ-ア磁子数から、全ての組成で+2価であると見積もられた。
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