研究概要 |
マットと平衡するスラグ中の銅の硫化損失と酸化損失量を測定するため,下記の平衡実験を行い,基礎データを集積するとともに,銅のスラグ損失と銅製練に要する熱収支計算結果からマット溶練炉で製造するマット中の最適銅品を推定した。 1.FeO_X-CaO-SiO_2-Cu_2O系スラグと溶銅間の平衡実験を行いCuO_<0.5>の活量係数とスラグ組成、酸素分圧、温度の関係を調べることにより、この系のスラグに酸化溶解する銅の量を、1200から1400℃の温度範囲で、鉄飽和からCu_2O飽和に至る範囲で推定可能になった。本系のスラグ中のCuO_<0.5>の活量係数は、スラグ組成に応じ1から15まで変動する。 2.鉄飽和下でスラグ、マット、溶銅の3融体間の平衡実験を行い、スラグ中の流下銅、CuS_<0.5>の活量係数とスラグ中の硫黄濃度の関係式およびマット中のCuS_<0.5>の活量係数とCU-Fe-S-O系マット組成の関係式を導いた。 3.10%SO_2気流下で、FeO_X-CaO-SiO_2スラグとマット間の平衡実験により、マットと平衡するスラグへの銅の溶解量を求め、上記1、2の実験結果を利用することにより、この実験の製練に近い条件にけるスラグへの銅の硫化損失と酸化損失量を求めた。 4.本研究で得られたスラグへの銅損失データを考慮し、銅製練の熱収支計算を行い、マット溶練炉で70%Cuのマットを製造するのが、銅損失と熱利用の見地から、最適であると推定した。
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