研究概要 |
研究実施計画に従い、低圧CVD法による、窒化タングステン薄膜の最適な合成条件を探索するとともに、生成機構を解明するために各成長パラメータが膜成長や膜質に及ぼす影響を検討した。 1.出発原料として、WF_6を用いた窒化タングステンの合成反応で得られた薄膜は、いずれもβ-W_2N単一相であり、反応温度に伴い、その成長速度,表面形状,結晶方位面が変化した。 2.WF_6CVDの成長速度に大きな影響を及ぼすパラメータはH_2とWF_6の供給量であることが認められた。WF_6,NH_3およびH_2分圧に対する成膜速度の反応次数は1次,0.65次および0次であった。原料ガス中のH_2の添加はWF_6から塩素原子を引き抜き、NH_3と容易に反応する活性な中間体形成を促進すると考えられるので、H_2による低級塩化物中間体の形成反応が支配的であると推測される。 3.析出した膜のタングステンの化学結合状態は、金属タングステンと類似しており、W-N結合は明確な結合状態を持たない侵入型化合物の特徴を良く示している。 4.表面形状および反応性のフラクタル解析をモリブデン窒化物について行った。にモリブデン窒化物触媒の窒化温度変化によるフラクタル次元の変化、表面構造の不規則性の変化から、窒化温度を773Kから973K,1173Kに上昇させると、フラクタル次元が2.1から2.5,2.8に増加し、表面構造の不規則性が増大した。
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