研究課題/領域番号 |
05650775
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
触媒・化学プロセス
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大塚 康夫 東北大学, 反応化学研究所, 助教授 (20091663)
|
研究分担者 |
朝見 賢二 東北大学, 反応化学研究所, 助手 (80202604)
|
研究期間 (年度) |
1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 高分子金属錯体 / 鉄超微粒子 / 脱窒素機能 |
研究概要 |
まず、酸素配位子を持つポリビニルアルコール(PVA)と硝酸鉄との混合水溶液にアルカリを添加した後、アセトン抽出によりPVA鉄錯体を調製し、不活性ガス中630℃で炭素化した。TEM観察やXRD測定の結果より、10nm以下の金属鉄超微粒子が、30%の高濃度で炭素上に均一に分散していることが明らかとなった。鉄微粒子の結晶形態は炭素化温度によって制御され、また鉄存在下では、炭素収率が著しく向上するとともに炭素の結晶化も進行した。この高分散金属鉄微粒子上では、アンモニアやアミンの分解が促進された。 次に、N配位子を有するポリアクリロニトリル(PAN)上に、アモルファス状の水酸化鉄を沈殿担持して1000℃で炭素化し、30nm前後の鉄超微粒子が高分散した炭素の製造に成功した。炭素化過程では、超微粒子形成前の鉄クラスターとPAN中の窒素との相互作用が広範囲に起こり、通常はアンモニアやシアン化水素として脱離する窒素が、鉄存在下では極めて効率よくN_2に転化されることを見いだした。XRD測定結果より、窒化鉄や炭化鉄の生成が認められ、炭素のN 1s XPS測定より、ピリジン環の窒素が選択的にN_2に転化されることが判明した。これらの結果を総合して、鉄クラスターが炭素マトリックスに溶解しつつ固体内を移動して窒化鉄となり、その分解によってN_2が生成する反応機構で進行するものと結論された。 このような超微粒子合成法は、酸素配位子を大量に含有する褐炭に対しても大変有効であり、900℃の熱分解により、10〜30nmの鉄超微粒子が炭素上に生成した。鉄微粒子は、ピリジン環やピロール環のN_2への転換を著しく促進した。これらの複素環の窒素は、燃焼過程で、酸性雨の原因となるNOxや地球温暖化ガスであるN_2Oとして排出されるので、本研究成果は、環境上有害な窒素酸化物のプリカーサーの除去法開発に非常に有用である。
|