研究課題/領域番号 |
05650790
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物・生体工学
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
早出 広司 東京農工大学, 工学部, 助教授 (10187883)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1993年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | phycocyanin / promoter / chloramphenicol acetyltransferase / photo regulation / marine cyanobacteria |
研究概要 |
本研究は組換え藍藻の外来遺伝子発現を光によって調節するシステムを開発することを目的に行った。すなわち、(1)補色適応能力を有する藍藻Fremyella diplosiphonを用いた系ならびに(2)光波長によってフィコシアニン発現量が転写レベルで調節されている海洋藍藻Synechococcus sp.を用いた系についてそれぞれ検討した。まず、F.diplosiphonの系に関しては、当該藍藻より、光波長によって調節されているオペロンであるフィコエリスリン遺伝子をPCR法により増幅し、これを大腸菌内にクローニングした。さらにこれをF.diplosiphonに導入することを目的に同領域を広宿主域ベクタpKT230にクローニングした。しかし、これまでのところ、このプラスミドの複製がF.diplosiphonにおいてみられず、発現系の検討には至っていない。一方、海洋藍藻Synechococcus sp.を用いた系では、まず、淡水藍藻Anacystis nidulansよりフィコシアニンプロモータの領域をPCRで増幅、これをモデル外来遺伝子であるクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)の上流につなぎ、広宿主域ベクタpKT230にクローニングした。その結果、同プラスミドは海洋藍藻ないで安定に複製され、また、CAT遺伝子の発現が見られた。培養開始後、約100時間の対数増殖期後期において、CATの発現量は最大となった。その時の発現量はこれまでに報告してきたカナマイシシン耐性遺伝子のプロモータを用いてCATを発現させた場合の20倍以上の値を達成し、本プロモータが海洋藍藻における外来遺伝子発現においてきわめて有効であることが明らかとなった。さらに、本プロモータの光波長による発現調節を試みた。すなわち、今回構築した組換え藍藻の赤色および緑色光下で培養した。赤色光下では、前培養時に発現していたCATが速やかに減少し、100時間後には細胞内でのCATの発現はみられなかった。一方、これに対して、緑色光下では前培養時の活性が徐々に増加し、発現後のCATの減少はみられず、細胞あたりの発現量は最高で白色光下の2倍程度まで増加した。このように、外来遺伝子の発現を海洋藍藻内で光波長によって制御することに成功し、今後の組換え藍藻を用いた有用物質生産系への貴重な基礎的知見を得ることができた。さらに、今回見られた制御系に関して分子レベルで検討することが必要である。
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