研究概要 |
モノマーの設計と重合反応[親電子芳香族置換反応] アニソール誘導体と安息香酸誘導体の,直接アシル化とフリーデルクラフツ型の2つの縮合反応を検討した。次いで,アシル受容モノマーとして2,2'-ジメトキシビフェニルと2,2'-ジメトキシジフェニルエーテルに,ジカルボン酸部位をテレフタロイル,イソフタロイル,ナフタレンジカルボニル,オキシビスベンゾイルとする親電子芳香族置換反応を検討した。テレフタル酸クロリドと2,2'-ジメトキシビフェニルの塩化アルミニウムによる速やかな重合で,高分子量で完全非晶性のポリケトンが得られた。 [芳香族カップリング反応] ハロゲン化ベンゾフェノンのカップリング反応でのケトンカルボニルの阻害効果を解明し,それを含めて最適反応条件を決定した。ついで,5,5'-ビス(4-クロロベンゾイル)-2,2'-ジメトキシビフェニルを合成し,ニッケル錯体触媒/亜鉛還元剤系の芳香族カップリング重合で,フィルム形成能を有する,新規な全芳香族ポリビフェニレンの合成ができた。 側鎖官能基ブロックの構築[アミノ酸導入単位化合物の合成] 光学活性なアミノ酸部位を高分子鎖に組み込む構築ブロックとして3つのアクリロイル-L-プロリルアミド誘導体について,その二重結合の高い反応性と疑シス-トランス異性の問題を回避してその合成に初めて成功した。 [共重合と側鎖官能基変換反応] 側鎖にアルコキシ基を有する高分子量で高耐熱性の芳香族ポリケトンを共重合の手法により合成し,ルイス酸を用いて,保護基のエーテル結合を切断する方法を確立した。 最近の研究動向に関する調査 最近,特に,芳香族ポリケトンのミクロ構造と物性相関に関する研究の進展がめざましい。そこで,ここ3年の報告を主な範囲とし,芳香族ポリケトンの合成,構造解析,物性研究報告について調査解析し整理して発表した。
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