研究概要 |
1.橋かけ剤として、エチレンジメタクリラート(1G)、テトラエチレングリコールジメタクリラート(4G)またはノナエチレングリコールジメタクリラート(9G)を、希釈剤(多孔化剤)として酢酸イソブチル(IBA)を用い、各橋かけ剤量と希釈剤量を系統的に変化させ、グリシジルメタクリラート(GMA)の球状橋かけ前駆体(1G-GMA,4G-GMAおよび9G-GMAの各共重合体をそれぞれRG1,RG4およびRG9およびRG9と略)を合成した。これらの前駆体と1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-5,7-ジオンを反応させ、目的のキレート樹脂(RG1,RG4およびRG9より得た樹脂を、それぞれRG1D,RG4DおよびRG9Dと略)を得た。 2.配位子含量の高い樹脂を得るには、希釈剤をモノマー混液と同内以上用いて前駆体を合成する必要があることがわかった。前駆体の比表面積は、RG1>RG4>RG9の順に低下し、RG9はBET活性細孔構造を示さない。しかし、樹脂RG9DではBET活性細孔構造を示し、樹脂の比表面積の大小はRG1D>RG4D≒RG9Dの順であった。 3.いずれの橋かけ剤を用いた場合においても、希釈剤量100vol%以下で合成した樹脂のCu(II)吸着量は低いが、希釈剤を120-140vol%以上用いて合成した樹脂では、Cu(II)吸着量が増加した。また、RG4DとRG9Dでは、橋かけ度増加に伴うCu(II)吸着量の顕著な低下は認められないが、RG1Dでは橋かけ度の増加に伴いCu(II)吸着量が大幅に低下した。以上により、橋かけ剤を10mol%、希釈剤を140%を用いて合成したRG4D(10)-140とRG9D(10)-140が優れたCu(II)吸着特性を有することがわかった。 4.RG4(10)-140とRG9D(10)-140について、カラム法により金属イオンの動的吸脱着特性を評価した。いずれもCu(II)に高選択的吸着性を示すが、特に、RG9D(10)-140がCu(II)に対して大きい漏出容量を有し、Cu(II)の高選択的な分離、濃縮に有用である。
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