研究概要 |
優秀な顔料、ウルトラマリンは現在カオリンと硫黄末を870℃に1週間処理して合成されている。本研究では、南九州の火山噴出物であるシラスおよびシラスから簡単に合成できるP型ゼオライト,その過程で得られる濾液の3つを主原料として、100℃付近での水熱反応でウルトラマリンのSodalite骨格を造りながらその骨格内部に発色源の硫黄を入れる方法を検討するものである。そのためSodalite骨格の生成条件(原料組成,濃度,温度,時間等)そして硫黄源の検討を行った。 シラスを原料とした場合は、アルカリ水熱処理で簡単にSodalite骨格が生成したが、発色源の硫黄をこの骨格に入れ込む事はかなり難しかった。即ち、硫黄源として硫黄末または硫化ナトリウムを添加すると、骨格内に硫黄よりも先に炭酸が入ったNatrodavyne(Natr)が生成した。しかしNa_2S_2O_3やNa_2SO_4の添加では内部に硫黄分を含有していると思われるSodalite骨格が生成した。けれども、その添加量が多くするとNatr.や石英が副成し、Sodalite骨格の生成量が少なかった。NaClの添加はSodaliteの結晶化促進効果があった。そして生成物の発色に大きく寄与すると言われている硫黄の含有率は7.6%(市販のウルトラマリンは8.6%)と3つの原料中でシラスが最も高く、加熱による青の発色も濃かった。また加熱条件で色々の色が発現した。 P型ゼオライトやP型濾液を原料とした場合は、シラスよりも反応性が悪く、良好な結果は得られなかった。また加圧下での水熱反応も行った。結果は常圧と同じく硫黄分の添加でNatrが生成した。 色は細孔内の各種の多硫化イオン種の存在割合によって微妙に変わる。このイオン種の存在割合はEPMAの測定で可能と思われたが、EPMAの参考資料が少なくて、データーの蓄積中で解析まで至らなかった。
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