研究概要 |
新潟大学農学部実験圃場(砂地)にハイブリッドヤマイモ(ヤマトイモxナガイモ、YNと記述)15系統を栽培し、いもの形状と品質等を両親品種と比較した。いもの形状は全体としてナガイモのように長く伸びる系統(長形)とヤマトイモのように塊状になる系統(塊状形)とに分れた。塊状形でもYN9はヤマトイモに似た球形で、YN3は分岐が多かった。長形系統でもいもの長さには差異が認められ、YN10,YN14はナガイモ以上に長く伸長した。「いもの太さ/いもの長さ」の形質は年次間に高い相関があり、いもの形状について早期選抜の可能性が示された。種いもを150gに調整して栽培すると、YN1が高い増殖能力を示した。ムカゴは全系統に着生したが、その量はナガイモより少なかった。株当たりの収穫作業所要時間に関して、塊状形なったYN3,YN9はナガイモより大幅に時間を短縮させ、ヤマトイモの水準となったが、他はナガイモと同程度かそれ以上であった。これまで9系統で花の着生が観察されたが、それらはいずれも雄花であった。いもの品質について、固形分はナガイモとヤマトイモで大きな差異があったが、ハイブリッドヤマイモはそれらの間の値を示す傾向であったが、塊状のYN3は特に高くなっていた。ハイブリッドヤマイモのデンプン含量はナガイモを大きく上回り、ヤマトイモと同水準(25-30%)の系統が多かった。粘度および粗粘質物はヤマトイモの水準には達しないものの、かなりの粘性を有する系統も認められ、特に、塊状形のYN3,YN9で高くなり、長形のYN14でも高い粘度を示した。供試系統より検出できた単糖類、二糖類はフラクトース、グルコース、スクロースであり、ハイブリッドヤマイモはそのほとんどがナガイモやヤマトイモより多量の糖濃度を示したが、特にYN7,YN8,YN9で顕著であった。
|