研究概要 |
培養液中のカリウムとカルシウム比、アンモニア態窒素の濃度の違いが養分吸収、特にカルシウムの吸収に及ぼす影響を明らかにした。また、貯蔵性や品質の違いを明らかにする目的で、呼吸量、エチレン生成量、糖、アスコルビン酸含量について調査した。(実験1)培養液のK/Ca比が0.5から2.0に上昇するにつれ、尻腐れ発生率は増加したが、GS指数は減少した。(実験2)培養液中のアンモニア態窒素濃度が0.0me/lから2.0me/lに増加するにつれ、尻腐れ発生率は増加したが、GS指数は減少した。(実験3)尻腐れ発生率は、アンモニア態窒素濃度2.0me/l>0.0me/l,K/Ca比2.0>0.5の傾向があり、逆にGS指数、カルシウムの吸収速度及び吸収量、果実中のカルシウムの含有率は、アンモニア態窒素濃度0.0me/l>2.0me/l,K/Ca比0.5>2.0を傾向を示した。組み合わせによる交互作用がみられ、特に‘桃太郎'の果実中のカルシウム含有率はアンモニア態窒素濃度3.9me/、K/Ca比2.0の組み合わせにより著しく低下した。以上の結果、培養液のK/Ca比やアンモニア態窒素濃度の上昇により、カルシウム吸収の抑制と果実中のカルシウム含有率の低下がみられ、それにともない、尻腐れ発生率が高くなった。同一品種ではGSと尻腐れ発生に負の相関があった。 呼吸量、エチレン生成量、アミノ酸含量にゴールドスペックの程度による差はみられなかった。アスコルビン酸含量、糖含量は、ゴールドスペックの程度による差がみられたが、ブリックスの測定では、有意な差は認められなかった。また、針状のシュウ酸カルシウムの結晶が物理的ダメ-ジを与えて貯蔵性を悪くするのではないかと考えられていることから、輸送を想定した振動実験や形態的観察も行ったが、このことは確認するに至らなかった。
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