研究概要 |
ハイドランジアは、秋に花芽分化し冬の低温期を経て休眠が打破され,春に花芽の発達が再開し初夏に開花する.本研究では、ハイドランジアで,秋から初冬開花の作型を開発することを目的とし,1および2の手法を想定して休眠と花芽分化の調節に関する検討を行った. 1.休眠を回避し,秋に分化した花芽の発達を停滞させずに進める. 秋に休眠する二・三の植物で,夏の高温下で生育することが休眠化の要因の一つとしてあげられている.また,明らかに夏の高温により休眠するものもある.ハイドランジアを夏に冷蔵したところ,休眠化が抑制されたが休眠の回避は困難であると思われた.ハイドランジアの休眠は,高温下で生育してもしなくても涼温・短日によって誘導されることが示された. 2.春に花芽分化させ,冷蔵により短期間発達を抑制する. この方式は既に提案されている(森田ら1978),しかし,春の花芽分化が不安定で採用されるには至っていない.花芽分化には涼温期が適することから晩春までに新梢を充実させ,さらに,パクロブトラゾール処理を行うことで,4月下旬より花芽分化がみられ分化率100%を期待できることが明らかとなった.しかし,新梢の生長が抑制され花芽の発達も停滞して発蕾や開花は散発的になった.このことは冷蔵によっていくらか解消されたが,発蕾・開花は不揃いで開花状態も正常ではなく花径が小さく小花数も少なかった. 以上のように1および2の方式とともに課題を残している.実用的な開花調節方法とするには,ハイドランジアの休眠化および花芽分化・発達の条件についてさらに精細な検討が必要である.
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