研究課題/領域番号 |
05660060
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物保護
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
有江 力 理化学研究所, 微生物制御研究室, 研究員 (00211706)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1993年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | Fusarium / ペクチン質分解酵素 / アイソザイム / 等電点電気泳動 / 抗体 |
研究概要 |
土壌病原菌の中でも非常に甚大な被害を及ぼしているフザリウム病菌を対象として試験を行なった。 1.トマト萎ちょう病菌(Fusarium oxysporum f.sp.lycopersici)より、現在市場性の高い品種、桃太郎に強い病原性を示す株について、病原菌-寄主植物間の相互関係を調査した。トマト60余品種と国際標準病原菌株等を用い、接種試験により遺伝的解析を行なった。この結果、現在我が国で問題になっている病原菌は、抵抗性遺伝子IOTAを無効化するレース2であると判断された。また、この菌は果実が堅い完熟系の品種に強い病原性を示すことが多く、病原菌一寄主植物間の相互関係にペクチン等の関与が推測された。 2.F.oxysporumの20余の分化型を中心に、G6PDHを初めとする15余の一般的酵素およびペクチン質分解酵素などについて、等電点電気泳動によりアイソザイム解析を行なった。この結果、一般的酵素については、菌株間等でアイソザイムパターンに差が見られたが、病原性とリンクするものは見いだされなかった。ペクチン質分解酵素については、殆どの菌株でpI値7.3、7.0、6.7、6.1の共通のアイソザイムを持っていることが判明した。 3.F.oxysporum f.sp.Iycopersiciのペクチン質分解酵素産生条件について検討を加えた。基礎培地にトマト植物体、シトラスペクチン、ポリガラクツロン酸を添加すると本酵素が誘導されたが、サッカロース、マンノース等では誘導されなかった。また、本酵素の最適pHは4.5前後であった。 4.ペクチン添加培地培養上清から硫安塩析、G25カラム、C50カラムによるイオン交換、G75カラムによるゲル濾過で本酵素を粗精製した。SDS-PAGEの結果分子量約4.5Kであった。 5.粗精製酵素を用いてマウスを免疫し、モノクローナル抗体を作製中である。得られる予定の抗体を用いて植物組織内での酵素分布等を調査する予定である。 6.トマト萎ちょう病菌より抽出したmRNAよりcDNAを得た。既報のバクテリア等のペクチン分解のシークエンスを参考にプライマーを作製した。このプライマーを用い、cDNAをテンプレートとしてプローブを作製、フザリウムのペクチン質分解酵素遺伝子を探索している。今後は、この遺伝子の発現について調査を行なう予定である。 7.すでに作成したフザリウム属菌と特異的に反応するモノクローナル抗体API9-2を用いてフザリウム菌の表面の解析を行なった。この結果、抗体の反応部位が菌糸表面のマンナンを多く含む多糖であることが判明した。
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