研究概要 |
(1)重金属耐性ヘビノネコザと耐性の比較的弱いクワとヘビノネコザを用い、水耕液中にCd10^<-6>〜10^<-3>,Zn10^<-5>〜10^<-2>Mを添加して3日間培養して養分吸収量を測定し、さらに植物体の約半分を用いて重金属濃度を測定し、残りの半分は0.25Mのショ糖をふくむpH7.8のトリス塩酸バッファーを加えて氷上で磨砕し、さらに200xg,700xgおよび10,000xgで30分遠心分離して沈殿部分をF_1,F_2,F_3,残りの上澄みをF_4画分としてそれぞれに含まれるCdおよびZn量を測定した。 〔結果〕:ヘビノネコザではCd添加濃度の上昇に伴って養分吸収速度は急落しないが、インゲンとクワでは急落した。ヘビノネコザではCdの低濃度添加区では根中Cd濃度はインゲンやクワより低いが、高濃度では3者の間には差は認められなかった。 各画分中のCd含有量を計ると、ヘビノネコザではF_1画分中に90%以上がみとめられるのに対して、インゲンでは55〜70%、77では30〜50%で、耐性の強いヘビノネコザではCdが根の細胞壁に補提された結果、障害を弱めていると考えられた。 (2)クワ品種剣持の2倍体とその2倍体からユルヒチン処理によって誘導された同質4倍体と2倍体の未受精胚から育成した半数体を生長点培養法で個体を育成し、さらに水耕液で1カ月育てた新鮮重約15gの個体をCd5,10,20MMを添加して乾物生長の阻害率を測定して各倍数体間の耐性を観察した。また、Cd10MM3日間育成した各倍体の器官別に上記の分画法で、各画分に含まれるCd量を測定した。 〔結果〕:倍数性とCd耐性との関係をみると、耐性の大きさは半数体>2倍体>4倍体となっていた。また、植物体中のCdを分画すると、細胞壁成分を多く含む画分中のCdの割合は半数体>2倍体>4倍体となり、耐性の強さと一致することが明らかになった。
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