研究概要 |
カドミウムと水銀は、環境汚染物質の中で人間の健康影響を考えた場合、特別の重要な位置を占めている。腎皮質中のカドミウム濃度と日摂取量が世界で一番高いと認められている我々日本人にとっては、その摂取経路を特定し、有効な軽減対策を考える上にも、河川水、土壌、産米に含まれるカドミウムの自然賦存およびバックグランド濃度の範囲を特定することは、特別の重要性を持っている。 そこで、これらの天然物試料に含まれる自然賦存およびバックグランドレベルの極低濃度、ppbあるいはpptレベルのカドミウムを出来るだけ高い精度で分析するためには、分析法についての基礎的検討が先ず必要である。そこで、ウルトラピュアの市販試薬と各種の市販試薬の比較、超純水と各種の蒸留、脱イオン水の純度の検定、各種の分解方法、前処理法としてのキレートろ紙およびイオン交換樹脂の利用方法などを検討して、ICPMSおよびフレームレス原子吸光法による分析方法の基本的操作方法を確立した。 上記の分析方法を利用して、各地の河川水、湧水、温泉水、地質系統を異にする各地の土壌、外国産を含めた日本各地の産米についてカドミウム濃度を測定し、自然賦存及びバックグランド濃度の範囲をほぼ特定することが出来た。主要な結果としては、1)河川水中の自然賦存濃度は10〜20ng/kg,土壌中濃度は30〜200μg/kg,外国産米の濃度は3〜20に対して国産米では30〜200μg/kgのものが主体を占めていた。
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