研究概要 |
本年度の『土壌の窒素循環における固定態アンモニウムの定量的把握』の研究において,下記のことを明らかにした。 1)固定態アンモニウムについて,まず農耕地での循環と収支の実態を詳らかにし,窒素代謝の諸過程を定量的に把握した。また,固定態アンモニウムの放出・固定および交換性アンモニウムイオンの化学平衡に及ぼす共存イオンのなかで,ナトリウムイオンの影響が最も著しかった。 2)つぎに,微生物生態学的ならびに生化学的研究から,固定態アンモニウムの循環に関与する微生物フロラ中,硝化菌の窒素代謝素は窒素把肥沃度環境と相互関係をもつことを明らかにした。 3)また,幾つかの土壌について,固定態アンモニウムと同じ反応の場をもち,固定反応に競合する固定態Kは,固定態アンモニウムとは,相互に密接な拮抗的な関係があった。 4)これまでに得られた定量的なN循環に関する実験結果をもとに,土壌中の固定態アンモニウムのN代謝は,耕地生態系,とくに,21世紀にむけての環境調和型農業に対して重要な役割を果すと評価された。
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