り病魂茎を着生している馬鈴薯地上部体内の代謝成分の変動を把握し、これらを地下部の土壌病害感染の診断や予知の指標として利用しようと考え、診断の指標とする代謝成分は、グリコアルカロイド類を取り上げた。 1.病気に代わる外部からの刺激として、光による緑化に伴う芋のグリコアルカロイド含量の変動を分析した。 供試した品種の中では耐病性の大きい品種はグリコアルカロイド含量が高く、緑化に対する感受性も大きいといった傾向はうかがえるようであった。 グリコアルカロイド含量の構成成分であるソラニンとチャコニンの割合は、チャコニンがソラニンに比べ大きかった。馬鈴薯表皮中のα-ソラニンとα-チャコニンは、光による緑化で含量の増加がみられることから、外部からの刺激に対する感応性をもつ化学物質であるインヒビチンまたはファイトアレキシンであると推定できるようである。 この様に、外的要因の影響によるグリコアルカロイド含量の増加は、緑化の初期には主としてα-チャコニンの増加に起因しており、日数の経過とともにα-ソラニンの増加へと移行していく傾向がみられた。 2.葉位別葉中の含量をそうか病にたいする感受性を異にする2品種について分析した。葉位別葉中の含量は上位3葉で最も多く、下位葉では少なく、生長が旺盛な部分に多かった。 品種間の差異については、葉中の全グリコアルカロイド含量は、耐病性の大きい品種メ-クインが最も高く、耐病性の小さい品種デジマは極めて低かった。このことから品種の持つそうか病抵抗性と葉中の全グリコアルカロイド含量の多少との間の関連がある程度推測できるようであった。
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