研究課題/領域番号 |
05660126
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
食品科学・製品科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
原 博 北海道大学, 農学部, 助手 (70198894)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1993年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 食物繊維 / 短鎖脂肪酸 / 盲腸 / カルシウム / ラット |
研究概要 |
1、ラット盲腸内短鎖脂肪酸産生速度をin vitro短時間培養法により測定した結果、従来、盲腸内発酵の指標として用いられてきた短鎖脂肪酸濃度と大体において一致した。しかし、産生速度の日内変動の様な短期間の変化は、濃度と一致せず、このような場合には短鎖脂肪酸の濃度は発酵性の指標とならないことが示された。食物センイとしてトウモロコシ外皮(コーンハスク)を有機酸中で加熱することにより一部の繊維を分解し(解繊処理)発酵性を変化させたものをラットに摂取させて盲腸内短鎖脂肪酸産生速度を測定した。その結果、盲腸内短鎖脂肪酸の産生速度は、in vitroでの解繊コーンハスクのヘミセルラーゼ感受性と良く一致した。 2、短鎖脂肪酸の血中濃度測定法として、当初キャピラリー電気泳動法を挙げたが、配分された補助金内で購入できる低価格の装置では短鎖脂肪酸の分析が不可能と判断されたため、HPLCを使用し、ポストカラムでpH指示薬を発色剤とする方法でさらに検討しこれを確立した。この方法により、従来門脈血中で検出できなかった酪酸を、もっと上流に当たる盲腸静脈血を採取することにより測定可能にした。その結果、この方法により測定された、短鎖脂肪酸の盲腸からの吸収速度は1、で測定した短鎖脂肪酸産生速度と良く一致した。すなわち、食物センイ摂取による短鎖脂肪酸産生速度の上昇はその吸収速度を増加させることが確認された。 3、盲腸静脈血-動脈血濃度差法にて、カルシウム、マグネシウム、亜鉛の盲腸からの吸収を測定した。その結果大きく正の吸収をしめしたのはカルシウムで2-5mg/dlであった。この値は、食物センイの摂取により有意に増加した。 4、3、の結果より、盲腸で正の吸収を示したカルシウムについて、盲腸での吸収を確かめるため、盲腸内に直接カルシウムを投与し、その利用率を測定した。その結果。カルシウム欠乏ラットの盲腸内に投与されたカルシウムの吸収率は80%以上であり、発酵性の高い食物センイの摂取によりこの値は増加した。またカルシウム欠乏ラットの骨密度は、食物センイ摂取により無センイ食摂取ラットに比べて有意に高かった。これらの結果は、盲腸内での短鎖脂肪酸の産生増加がカルシウムの吸収を亢進したことを示唆している。
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