研究課題/領域番号 |
05660199
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
日野 明徳 東京大学, 農学部, 教授 (90012012)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1994年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1993年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | シオミズツボワムシ / ケモスタット / 餌料効率 / 安定培養 / 有機物負荷 / 安定同位体 / 窒素代謝 / 餌料密度 / 内的自然増加率 |
研究概要 |
1.研究の経過に伴い、ワムシは餌料密度の変化に対しその生理生態が敏感に反応することが明らかになり、従来のbatch culture法による既存の生態学的数値には、生態学上ほとんど信頼性が無いこと、たとえば我々の得た数値との比較が無意味であることが明らかになってきた。そこで、極めて高い精度で生物の代謝測定を可能にする窒素同位体をトレーサーとして使用し、ケモスタットシステムによって得た生態学的数値の検証を試みた。その結果、ワムシの消化効率、総生長効率(K_1)純生長効率(K_2)はそれぞれ22.8、17.4、77.5%であった。ワムシは摂餌によって取り込んだ窒素の約80%を糞として体外に排出した。同化された窒素のうち約80%は排出され、残り80%の窒素のほとんどは直ちに成長および再生産のために使われることが明らかになった。この数値は、ケモスタットシステムによる数値と完全に一致した。 2.ケモスタットを2基接続し、一方の培養液からワムシ及び40μm以上のPONをフィルターを用いて除いたものを他方の培養液として加え運転した。この場合、後者のケモスタットのDON、NH_4の負荷は通常の二倍になっていたにもかかわらず、増殖不良は見られなかった。このことより、高密度飼育時に起こる増殖不良は、高い個体密度に見あった給餌に由来するPONが負荷として働くことが原因と考えられた。 種苗生産現場での増殖不良や急落に関し、その主因は、高い個体密度に見合った給餌を行うことによる有機物負荷の上昇と直接的に関りあっていることが示唆されるなど従来のバッチ培養下での研究ではとらえられなかった現象を観測することができた。以上のことから、採食された餌の大部分をPONとして環境水中に排出するワムシの安定培養を行うには、有機物負荷の大部分を占めるPONの除去、またはその蓄積以前に培養系を更新する方法が適切であろうと考えられた。
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