研究課題/領域番号 |
05660240
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
農業経済学
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
出村 克彦 北海道大学, 農学部, 教授 (70091551)
|
研究分担者 |
広政 幸生 北海道大学, 農学部, 助教授 (00173295)
黒柳 俊雄 札幌大学, 経済学部, 教授 (90001403)
|
研究期間 (年度) |
1993 – 1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1994年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1993年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
|
キーワード | 農業の公益機能 / ウィリニングツペイ / コンテンジェントバリエーションメソト / 消費者余剰 / 農業水利施設高度利用事業 / Willingness to Pay / CVM(Contingent Value Method) |
研究概要 |
農業・農村の役割が食糧生産、雇用機会・生活空間提供の直接目的から、より広範囲の公益的機能の認識まで拡大してきた。これは農業の公共財として役割である。公益的機能は農業基盤を通して具体化されるが、特に農業水利施設は基盤整備事業の根幹であり、その多目的利用の重要性が社会的に要請され、従ってその経済的評価の裏付けが科学的に必要である。研究目的は都市住民に対する公益的機能が大きい農業用水路を実証的事例調査対象として取り上げた。北見市の水利施設の公園化は、市の緑化対策のマスター・プラン「花いっぱい運動」と「農業水利施設高度化利用事業」がリンクされていて、農業用水路をボックスカルバ-トで暗渠化する事により、市街地内に新たなオープンスペースを提供している。 公益的機能の経済的評価方法として、擬制市場法(CONTINGENT VALUATION METHOD:CVM)が現在最も代表的に利用される計測手法であり、これを利用した。アンケート調査は水路沿線の町内会・班組織の協力を得て実施し、WPT(Willingness to Pay:支払意思額)の調査は二肢選択法によった。町内会総戸数1、603戸、アンケート配布戸数465戸、回収459戸、回収率98.7%。用水路を利用した公園や緑道施設に対する住民の評価は、422人が「好ましい」と回答していて、農業用水路を利用した公園等の環境財としての便益はプラスである。水路沿線町内会の年間の経済的総便益は約110万円と評価された。 WPTに影響を与える「社会経済要因」は年収、「個人的選好要因」は用水路の公園化に対する「好ましさ」が大きく、その背景として、用水路を暗渠化する事による「危険性の除去」、「憩いの場の提供」、「害虫発生の減少等による衛生環境の向上」がプラスであり、「水の流れによる景観の消滅」がマイナスであった。この農業施設の公益的機能を維持する経費負担は「公的負担によって賄う」という意見が多く、公益機能の受益とその負担義務との間にはかい離があり、この財政面の解決が今後の対策には必要である。
|