1.農家女性の「いえ」および「いえ」的農地所有における位置と意識について、主として農家女性および農協、農業委員会等に対するヒアリング調査を精力的に行なった.主な調査地は愛媛県松山市のみかん地帯、静岡県袋井市浜松市の近郊農村地帯、宮崎県の施設園芸地帯、新潟市の稲単作地帯である.また北海道大、東北大等で関連する研究者との討論を行なった. 2.主な知見について述べると、みかん作地帯、施設園芸地帯では専業農家の主婦は、経営の対等のパートナーとしての意識が強く、また農家生活においても夫婦単位の生活への志向を強くもち、特に次世代については別居形態を考えている.しかし三世代世帯の規範の変革という意識はない. 3.女性の相続等における権利主張については、世代によって意見が大きく異なったのが新しい知見である.すなわち40代までは農地権利などはなくてもよいと考えるが、50代以上になると明確に農地所有名儀にあずかり農業者年金にも加入したいという主張が強まる. 4.研究成果はとりまとめ中であり、『農業・農協問題研究』誌に公表することになっている.
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