研究概要 |
穀粒の調製加工処理装置の改良や新技術の開発における効率の向上、及び穀粒の流動特性の解明を目的として、穀粒の流動現象の予測法について、2種類の流動現象を対象にして検討し、以下の結果を得た。 1.白米とガラスビーズを用いて、平底容器のスリットからの排出現象を観察した結果、自由表面の平均的位置はほぼ等しいが、白米の方が中央部の降下程度が大きかった。また、白米では粒子の長軸が流れの方向に向く"配向性"がみられ、回転はあまり生じていなかった。これらの白米の特徴は、形状が回転楕円体に近いことによると考えられた。その排出現象の離散要素法による2次元シミュレーションプログラムを、ペア要素(2つの円形要素が剛体的に接合した要素)と楕円要素について開発し、流動状態について円形要素とともに比較した。その結果、ペア要素と楕円要素は回転運動が不活発で、特に楕円要素は配向性もはっきりみられ、実験による白米の流動状態に近かった。 2.透明のアクリル樹脂板製の容器中に上層と下層に物性の異なる粒子層を堆積して垂直振動を与え、粒子の動きを観察して分離率を求めた。ガラスビーズ,鋼球,真鍮球を用いた結果、流動中の自由表面は水平で、粒径が大きく、密度が小さく、内部摩擦係数が大きい粒子が浮上する偏析現象が観測された。特に粒径比の影響が大きかった。この現象の離散要素法による2次元シミュレーション結果は実験結果と定性的に一致し、有効性が認められた。下層に籾 上層に玄米を堆積して加振させた結果、玄米が沈み籾が浮上する偏析現象が観察された。そのとき球形粒子より分離率が低く、自由表面が傾き、低い方に籾が滑り落ちて集まった。これは穀粒の回転楕円体に近い形状による配向性の影響であるため、籾と玄米の偏析現象を予測するには、形状を考慮したペア要素や楕円要素によるシミュレーションを行う必要がある。
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