研究課題/領域番号 |
05660309
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
畜産学・草地学
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
後藤 正和 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (20144230)
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研究分担者 |
江原 宏 三重大学, 生物資源学部, 助手 (10232969)
森田 脩 (森田 修) 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (90024562)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1994年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1993年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | アンモニア処理 / イネ科藁稈 / 細胞壁多糖構造 / 紫外線顕微分光 / セルロース結晶性 / 電顕観察 / リグニン構造 / ルーメン消化率 / 細胞壁構造 / X線回析 / セルロース結晶化度 / リグニン / 繊維質消化率 |
研究概要 |
アンモニア処理による麦稈の消化率の増加は、その柔細胞壁や厚壁細胞壁の内腔表面を覆う膜状構造の脆弱化や細胞壁内部への機械的損傷による、ルーメン微生物の飼料片への付着助長と密接に関連していることを明らかにした。この強固な膜状構造は木材の仮導管細胞壁に認められるwarts layerとは形状的に異なることから、個々の細胞が枯死する時に生活残渣とおぼしき堆積物が細胞壁内腔く覆ったものであることを電顕法で明らかにした。また、アンモニア処理稈ATAg染色による呈色性の低下を認め、無処理ならびにアンモニア処理稈からの水ならびにメタノール抽出区分の成分組成やIR分析から、ヘミセルロース側鎖に置換するアセチル基の解離などによる構造の単純化が呈色反応試薬に対するsensitivityの増加をもたらしているとし、アンモニア処理による構造性多糖の溶解と消化性改善効果との関係を否定した。アンモニア処理稈と無処理稈への粉体X線回折において、アンモニア処理によるセルロース結晶化度の低下(約20%程度)が認められた。これまで、水酸化ナトリウム処理やアンモニア処理によるセルロース結晶性への影響は認めておらず、本研究において初めて、その作用機作として解明された。さらに細胞壁の保水性や膨潤性の増大(アルカリ加水分解による効果)も観察された。両処理稈から抽出した磨砕リグニンの物理化学的特性と組織細胞壁のVis/UV顕微分光解析を行い、その作用効果は、主として、リグニン末端アルデヒド基への求核反応によること、平均分子量、フェノール性水酸基、メトキシル基などの基本骨格への影響はきわめて微小であることを明らかにした。 以上のことから、ルーメン微生物の飼料片への付着助長、セルロースの非結晶領域の拡大や細胞壁の膨潤性の増大とがアンモニア処理による大麦稈の消化性改善と密接に関連していることを明らかにした。
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