研究概要 |
血漿インスリン濃度と肉用牛の産肉性能との関連を検討するために,ホルスタイン種去勢肥育牛を用いて,血漿インスリン濃度の日内変動と肥育進度との関連,血漿インスリン濃度の日内変動と屠肉性との関係,肥育進度の違いがプロピオン酸負荷後のインスリン分泌反応に及ぼす影響およびプロピオン酸負荷後のインスリン分泌反応と屠肉性との関係について検討した。 得られた結果は次のとおりである。 1)肉用牛の肥育が進み,体重が増加するに従い、血漿インスリン濃度は上昇する。 2)血漿インスリン濃度の日内変動は,肉用牛の仕上げ期には脂肪蓄積量と関連が深いと考えられる。 3)プロピオン酸負荷後のインスリン分泌反応は,肉用牛の肥育が進むに従って大きくなる傾向が認められる。 4)プロピオン酸負荷後のインスリン分泌反応と屠肉性との関係では,インスリン分泌反応の大きさは肉質と関連が少なく,肉用牛の体重や枝肉重量といった肉量と関連が深いものと推測された。 これらの結果は,ホルスタイン種去勢牛の肉質が狭い範囲で変化するために,血漿インスリン濃度と産肉性能との関連を正確に解析することを困難にしていることが影響しているものとも考えられた。 今後,肉専用種を用いた肉質の広い範囲での変化と血漿インスリン濃度との関連を検討する必要があると思われた。
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