研究概要 |
1.収縮実験:【.encircled1.】ノルエピネフリン(NE,10nM-10muM,propranolol処置)は、Krebs液(Ca^<2+>2.5mM;37°C)液下で発情前期のブタ子宮角縦走筋(LM)標本を濃度依存性に収縮させた。この収縮は、TIX耐性で、alpha遮断薬phentolamine,alpha2遮断薬yohimbine(Yoh.10nM-1muM,pA2=8.37±0.06)により競合的に抑制されたが、alpha1遮断薬prazosin(Pra.1muM)では抑制されなかった。alpha2作動薬clonidine>xylazaine>>alpha1作動薬phenylephrine≧methoxamineの順番でLMを収縮させた。TMSで得られるLMの収縮は、TTX,phenotolamine,Yoh.(10-100nM)で抑制されたが、Pra.(1muM)では抑制されなかった。輪走筋(CM)はalpha1-とalpha2-作動薬に感受性を示さなかった。【.encircled2.】Ebashi-Kumagai液(Ca^<2+>0.4mM・Mg^<2+>0.2mM;28°C)下の収縮力価は、NE>phenylephrine>>methoxamineで、clonidine,xylazaineは100muMでも効果がなかった。NE収縮は、Yoh.(pA2=8.38±0.13)により競合的に抑制されたが、Pra.では非競合的に抑制された。受容体結合実験:粗製膜標本と放射性alpha1受容体リガンド^3H-prazosin、alpha2受容体^3H-rauwolscineとの結合が飽和性で特異的であった。^3H-prazosinの解離定数(kd値、nmol/1,n=4)と最大結合数(Bmax値、fmol/mg protein)は、LMで0.35±0.037,35.86±10.13,CMでは0.28±0.008,9.68±5.37であった。^3H-rauwolscineのKdとBmaxは、LMで3.09±0.26,255.61±25.15,CMでは2.86±0.19,62.64±6.26であった。以上より、ブタ子宮筋に存在するシナプス後受容体は、主にalpha2タイプであり、CMよりもLMに多く外因性および内因性NEの収縮反応の発現に関与していることを示している。しかし、このalpha2受容体機構は、低Ca^<2+>、低Mg^<2+>、低温下では受容体あるいはそれ以降のレベルで作動しずらくなるものと考えられる。 2.TMSの刺激頻度依存性にNE放出量は増加した。この放出増加はCa^2-free液中またはTTX処置で抑制された。誘発性のNE放出は、Yoh.,idazoxane,rauwolscineによりそれぞれ著明に増大したが、Pra.,clonidine,xylazaine,epinephrineによっては影響を受けなかった。これらより、シナプス前alpha2受容体を介するシナプス前抑制機構が作動しているか否かについては更なる検討が必要である。 3.静止時の子宮縦走筋のcAMP含量は約4 pmol/mg proteinで、IBMX(1mM)により増加する傾向が見られた。Isoproterenolは濃度依存性(0.1-100nM)にcAMP合成を刺激したが、収縮の最大反応を起こす1muMclonidineはIBMXの存在に関わらずcAMP含量に全く影響を与えなかった。従って、alpha2受容体刺激によるブタ子宮縦走筋の収縮反応にアデニレートシクラーゼ系は関与していないものと考えられた。
|