研究概要 |
13種類のCAM植物を用い,PEPカルボキシラーゼ(PEPC)の活性測定における至適phを明らかにし,各至適ph下でのPEPCのリンゴ酸感受性の昼夜変化の種変異を調査した;PEPCの活性測定における至適phは,植物の種によって異なった。特にバニラにおいては,2種類の至適phが認められ,同一種内に特性を異にするPEPCのアイソザイムが混在することが明らかとなった。PEPCのリンゴ酸感受性についても種間差が認められた。リンゴ酸感受性の明確な昼夜変化を示すもの(セイロンベンケイ型)として、バニラ。日変化が認められない(パインアップル型)ものとしてセダム。以上2型の中間型として,コチョウラン他11種類が類別された。 PEPCのリンゴ酸感受性が特徴的に異なるパインアップル,コダカラベンケイ,セイロンベンケイについて検討した;細胞内におけるPEPCの存在部位に種間差が認められた。PEPCのリンゴ酸感受性の顕著な日変化を示すセイロンベンケイでは,PEPCが細胞質と細胞内生体膜内部にほぼ等分に存在した。PEPCのリンゴ酸感受性に殆ど日変化を示さないパインアップルでは,細胞質と細胞内生体膜表面という遊離の状態で存在した。PEPCのリンゴ酸感受性の日変化がセイロンベンケイとパインアップルの中間型を示すコダカラベンケイでは,約80%のPEPCが細胞内生体膜内部に分布していた。つまり,CAM植物のPEPCのリンゴ酸感受性の日変化特性は,酸素の存在様式と深く係わっている可能性がある。パインアップルのPEPCの等電点(pI)は5.1〜5.2,セイロンベンケイとコダカラベンケイのpIは5.8〜5.9にあることが明かになった。
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