研究概要 |
1.モルモットの小腸では,寿命を終えた上皮細胞の胞体の大部分は固有層のマクロファージ貪食されるが,管腔側細胞質はそのまま残る。本研究ではさらに観察を進めた結果,管腔側細胞質は接着装置により両側の細胞と連結し,依然としてバリヤ-機能を維持していることがわかった。 2.刷子縁をつけた細胞質片は,ついで両側の細胞が近寄ってくると管腔内に突出し,両隣りの細胞が接着した時点で初めて脱落する。この間上皮の「ほころび」はまったく認められなかった。従って,モルモットの小腸腔内には,上記の管腔側細胞質の破片だけがみられることになる。 3.ラットでは,小腸腔内に核を含む上皮細胞の胞体が存在しており,モルモットとは異なり上皮細胞は丸ごと脱落している。アポートシスを起こした上皮細胞は絨毛の先端部で脱落するが,この時両側の細胞が押し出す格好をとるため,この場合も上皮に穴が開くことはない。 4.モルモット型の上皮処理機構は,サルとウマにおいて,またラット型の処理機構はマウスでも認められた。ヒトは基本的にはラット型であるが,大腸では老化上皮細胞はマクロファージによって貪食される。 5.上皮細胞の細胞孔はプログラムされた予定孔ではなく,外からの因子によって誘導されると思われる。その誘導には,モルモットでは細胞傷害性リンパ球が,ラットやマウスではマクロファージが関与している所見が得られた。
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