研究概要 |
細胞内小器官の内部構造を形態と蛋白質分子の両面から電子顕微鏡学的に研究して、各内部構造の形態学的マーカー酵素・蛋白質を明らかにすることを目標として、平成5、6、7年度に研究を行った。 1.新たに得られた知見。 主にペルオキシゾーム、ミトコンドリア、核について知見を得た。 1)哺乳類の肝臓ペルオキシゾーム中の核様体に共通して存在すると考えられてきたurate oxidaseが、広く脊椎動物の肝臓ペルオキシゾームに存在して核様体の形態学的なマーカーであることが示された。 2)さらに、培養細胞を用いた研究で形態学的なマーカーとなる過程と機構が示された。 3)肝臓、心臓のミトコンドリアとくにクリスタには様々な脂肪酸酸化系酵素が局在することが示された。脂肪酸酸化系酵素がクリスタの形態学的なマーカーに成る可能性が示された 4)allantoinaseがミトコンドリアの新たな形態学的なマーカーであり、特にミトコンドリア基質の新たな形態学的なマーカーであることが示された。 5)Calcineurin isoform,CAP50、PCNA/cyclinが核の形態学的なマーカーにであることが 示された。これら5点を中心に論文および学会発表した。とくにペルオキシゾームの内部構造についてsubcomparmtentという機能単位を提唱した 2.研究上の問題点 小胞体、ゴルジ装置、リゾソームについては、新たな酵素の精製に予想外の時間がかかった。あるいは作成した抗体に予想しなかった非特異反応がある。この二点の問題により、十分な成果が得られなかった。それは、組織材料を変更しても解決されなかった。 3.問題点の解決法と今後の展開 研究目標を達成するために、研究方法を変更して、合成ポリペプチドに対する抗体を作成して研究を始めている。
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