研究概要 |
我々の知る限りでは,ヒト以外の動物の上皮小体にwater-clear cellを観察したという報告はこれまでになく,著者らによる1990年のゴールデン・ハムスター上皮小体におけるwater-clear cellの発見が,ヒト以外の動物としては最初であった。その後,water-clear cellの起源についても調査し、主細胞がwater-clear cellに 移行し得ることを1991年に発表した。さらに,ウサギにおいてもwater-clear cellの存在を確認し,1992年に発表した。また,絶食をさせることにより主細胞の細胞質に脂質滴が蓄積するのであるが,それと同様の変化がwater-clear cellにおいても生ずることを1992年に発表した。 今回の研究における結果は以下の通りである。 1.多数のラット,ウズラにおいて調査したが,これまでのところwater-clear cellを認めていない。 2.ストレプトゾトシン投与により主細胞と同様,water-clear cellの細胞質に脂質滴の増加を認めた。 3.ウサギ上皮小体において,glucose-6-phosphataseおよびuncleoside diphosphataseの分布状況を調査した結果,主細胞の粗面小胞体およびwater-clear cellの特徴である空胞ともに酵素活性は認められなかった。したがって,water-clear cellの空胞が主細胞の粗面小胞体の変化したものであることを,明確にすることはできなかった。
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