研究課題/領域番号 |
05670023
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
解剖学一般(含組織学・発生学)
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
安澄 文興 琉球大学, 医学部, 教授 (10009665)
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研究分担者 |
シェレスタ ダルマ・ラジ 琉球大学, 医学部, 助手 (10253965)
栗原 一茂 琉球大学, 医学部, 助教授 (80117415)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1995年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1994年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1993年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 細胞間橋 / 細胞質橋 / 橋細胞膜 / 精子発生 / 生殖細胞 / 横紋線維 / 細胞膜 / 細胞化学 |
研究概要 |
本研究は精子発生過程において、一群の造精細胞の細胞質に連続性を持たせている細胞質橋の特異構造の意義を明らかにすることである。本実験で主として用いた軟体動物腹足類のカワニナ精祖細胞から精子細胞の後期まで、同一精祖細胞から分裂した細胞は全て細胞質橋で結合されている。細胞質橋は生物界で広汎に共通した形態を示すが、カワニナでは細胞質橋の細胞膜が波状を呈し、膜内タンパク粒子を欠く極めて特異的に分化した細胞膜であることを見い出した。フィリピンによる細胞化学的解析で、この細胞膜がコレステロールを欠如し、レクチンの結合を検索することにより膜を構成する脂質に糖脂質が含まれることが判った。またこの細胞質橋にも細胞膜を裏打ちする電子密度の高い物質が存在するがサポニン処理後の細胞質の溶出により、橋細胞膜の保存とカワニナで初めてこの物質に付着する横紋をもつ線維構造を見いだした。線維構造は横紋周期の変化から収縮性を有し、形態的にも横紋筋と類似するが、免疫組織化学的検索でアクチンや中間細糸とは一致しないことが判った。橋細胞膜と横紋線維からなる細胞質橋複合体を種々の界面活性剤により分離を試み、非イオン性界面活性剤Nonidet P-40で分離に成功した。これにより橋細胞膜の波状性を確定し、横紋線維が円盤状の橋のほぼ全周にわたって付着し、二つの橋を互いに結合することを見いだした。これは精細管における栄養細胞からの受動的な造精細胞の配列を意味するのではなく、造精細胞自体の調節による橋の配列が考えられる。橋複合体の分離は、脊椎動物においても可能であり、橋細胞膜の脂質構成の特異性を示す。また凍結割断レプリカ膜による、橋細胞膜の平滑性を検索することにより、橋細胞膜の割断面である脂質疎水基表面が、細胞の他の膜表面と比較し著しく平滑であり、コレステロールの欠如と糖脂質の存在、界面活性剤への抵抗性とを考え、橋細胞膜の脂質構成が飽和脂肪酸からなると結論した。本研究目的の分離した橋複合体からのモノクロナール抗体の調整は、成功していないが、今後も継続して研究を行う。
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