研究概要 |
1.Percoll不連続密度勾配法による新しいghost標品分画法の更なる改良 昨年、超遠心器を用いたPercoll連続密度勾配法(これも我々が初めて開発した方法)に比べ、はるかに簡易かつ分離のよい、低速遠心器を用いたPercoll不連続密度勾配によるinside-out ghost(IOG),right side-out ghost(ROG),dense right side-out ghost(DROG)の分離分画法を開発したが、その後の研究で、時にわずかながら他分画の混入が生ずることが判明した。Percoll溶液の密度、遠心条件のg値、時間、温度などを更に詳細に検討し、分離分画法を完成した。例えば、IOGとDROGの分画用のPercoll溶液とROG分画用のそれは別のものとした。 2.新しいghost標品による赤血球の変形能と膜の裏打ち構造の研究 完成した分離分画法を用いて、各ghost標品のsidenessを再度確認した。例えば、最も簡易な方法として、ABO式血液型判定法を用いると、ROGは対応する凝集素によって凝集するがIOGは全く凝集を生じない。走査電著で形態を調べると、ROGは正常なbiconcave disk状を呈するが、IOGは球形であり、その細胞表面(赤血球膜の内側にあたる)はROGと著しく異なる。アンキリン抗体などを用いて膜の裏打ち構造について検討中である。これらROGとIOGの違いを反映して、IOGでは著しく形態能が低下して居り、また、主として細胞の内側に作用する物質(例えばCa^<2+>)に対する応答性もROGとIOGでは明確に異なっていた。
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