研究課題/領域番号 |
05670060
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生理学一般
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
古屋 喜四夫 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (40132740)
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研究分担者 |
榎本 浩一 岡崎国立共同研究機構, 島根医科大学・第二生理, 助手 (70112125)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1993年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 乳腺上皮細胞 / 機械的刺激 / 細胞内カルシウム / カルシウム波 / プリン受容体 / UTP / スラミン / 細胞間情報伝達 |
研究概要 |
乳腺上皮細胞は機械的刺激に応答して細胞内カルシウム上昇を起こし、そのシグナルは周りの細胞に波のように伝播する。このカルシウム波は液性の活性因子によって外液を介して伝播することをすでに報告している。本研究では更に以下のことを明らかにする事ができた。 (1)乳癌培養細胞をピペティングした上清液にはその活性物質が含まれており、ホスホジエステラーゼで失活することや、260nm付近に吸収極大があることなどから核酸化合物の存在が示唆された。fura-2蛍光法による細胞内カルシウム反応を指標に、カラムクロマト、高速液クロを用いて上清液の分画を行い、活性物質を探索した結果、それはUTP、UDP、ATPの混合物であることがわかった。その濃度は各物質とも1muM以下であった。 (2)乳腺細胞はこれらUTP、UDP、ATP等に反応して、細胞内カルシウムストアーからの遊離による細胞内カルシウム上昇を起こす。その濃度依存性は、各1muMの単物質では十分なカルシウム反応を起こすことができないが、それらの混合物は十分の反応を引き起こした。 (3)P_2型のプリン受容体の阻害剤であるスラミンはこれら活性物質による反応を抑制するとともに、機械的刺激によるカルシウム波も抑制した。 以上の結果から、機械的刺激によって刺激を受けた細胞からUTP、UDP、ATPの混合物が放出され、それが周りの細胞のP_<2U>型のプリン受容体を活性化することによって、細胞内カルシウム上昇が起こり、カルシウム波となることがわかった。 このような機械的刺激によるカルシウム波の伝播は、乳腺細胞だけではなく各種の非興奮性細胞においてみられ、細胞のいろいろな機能に働いているとともに、細胞間の情報伝達機構としても働いていることが示唆された。また更に研究が進むことによって、多くの細胞に存在しているが役割のはっきりしていないプリン受容体の重要性が明らかにできると考えられる。
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